道南ひきこもり家族交流会「あさがお」ニュースレター第112号:2016年1月

道南ひきこもり家族交流会「あさがお」ニュースレター第112号:2016年1月

【例会】時間:午後2時~4時 会場:函館市総合保健センター2階会議室
1月10日 2月14日 3月13日 4月10日 5月8日 6月12日
 
樹陽のたより(ひきこもりを体験した当事者の集い)も、
函館市総合保健センター(第2健康指導室)で、11時~13時に開催します。


※道南における「ひきこもり相談」の公的窓口について
最近は、ひきこもりに関する相談も受ける機関が開設されていますので、当会へのご参加と合わせてご利用されてはいかがでしょうか。

様々な制度活用についても情報が得られますし、常設なので必要性を感じたときにすぐ利用できるのも強みかと思います。会員さんがお住まいの該当地域ごとに案内リーフを同封しましたので、参考にしてください。

  @函館市保健福祉部生活支援第1課(☎0138-21-3089):函館市民
  @北斗市生活相談支援センター(☎0138-74-2500):北斗市民
  @おしまHOT(ほっと)かないセンター(☎0138-64-6280):函館市・北斗市を除く渡島管内在住の方
  @生活就労サポートセンターひやま(☎0139-54-6300):檜山管内在住の方


※新年会のお知らせ 2月14日例会終了後、17時~19時「魚鮮水産函館五稜郭本町店」(行啓通みつわビル1F、☎050-5797-8599、会費3500円、「あさがお」で予約)で新年会を開催します。ご参加いただける方は2月10日まで野村へご一報ください。楽しく語り合いましょう!(^^)!

※「会員家族の相互訪問・当事者による家庭訪問」「ひきこもっているお子さんへ葉書を送る活動」も引き続き継続します。また、「レターポストフレンド相談ネットワーク」も手紙(絵葉書)をお届けする事業を実施していますので、ご希望の方、関心をお持ちの方は、野村までご一報ください。

 
【11月例会報告~「ひきこもり」とひとくくりにしないことが大切】

11月8日の例会には23名もの方が参加しました。今回は会に長く参加されている方々と新しく参加された方々が同じくらいの割合で顔を合わせましたので、参加者同士の情報共有と会の状況理解を兼ねて、敢えてグループ分けを行わず皆さんの現状を語り合う形をとりました。

今回も実感するのは、同じく「ひきこもる」という枠で語られる個々の状況も、本当に千差万別であり、お一人おひとりが抱えている背景、問題に丁寧にかかわる必要を痛感します。「ひきこもり」としてひとくくりにしないことが大切かと思われました。

ひきこもり初期段階での生活についても、それぞれの事情によって部屋にこもったまま出てこない状況から自由に外出して外で時間を過ごす状況までかなりの違いがあります。また時間の経過と共に用事で外に出ていた方も外出の機会が減っていき、まったく外に出なくなるとか、家族と食事をせずに一人だけで部屋で食べるなど生活の仕方に変化が見られる場合もあります。

【強迫神経症的な症状への対応】
しかし、一方でその個別の様相ながら、時間の経過と共に現象として同じような傾向が見られてくる点も特徴的かと思われます。
その一つが強迫神経症的な症状です。

これについては北海道新聞10月27日の記事が資料として配布されていますのでお読みになった方も多いかと思われますが、強迫性障害は不潔恐怖や手洗い強迫、被害・確認不安、加害恐怖などの障害で,漠然とした恐怖や不安が特定の具体的な場所に移ったものと考えられます。

周りがいくら大丈夫と言っても,止めることができません。当人は不安を解消しようとして強迫行為をしないではいられなくなり、繰り返していきます。不登校になって少し経過した時点でも,「頻繁に手を洗う」「お風呂の時間が長くなった」という保護者からの報告が出ることがあります。今の状況に不安を抱えて辛い思いをしているので、家族の理解と支えがとても重要になってきます。

家族がやむにやまれぬ行為であることをよく理解して、見守る必要があります。医療機関と繋がることで投薬や療法などの適切な治療を受けて改善していくことができるので、生活面での支障を改善するためという共通認識を持って受診につなげたいところですが、病院につながらないケースも多々あって、難しい問題でもあります。

薬物治療に関してはできるだけ避けたいという家族の意識もあるかと思います。今回も話題に出たことですが、特に低年齢の子どもへの治療にはできる限り薬の使用は避けていきたいところです。ADHDのように多動が見られる場合でも薬物を使用せず、粘り強く「わかりやすさ」と「安心・安全感」をしっかり感じてもらうことが何より大切になります。

しかし、周囲からの注意や叱責ばかりが多くなる状況で自信を失ったり、からかいやいじめの対象となったり、その環境から怒りをコントロールできなくなる状況が生まれると本人が一番苦しく辛くなっていく場合もあります。こういう場合には医療とよくよく相談して本人が社会生活を送るうえで今どうするか、周りの大人がどのようにかかわっているかをしっかり振り返って話し合っていくことも大切かと思います。

【適度な距離感と、「ひきこもり」という窓から本人を見ない】
自信を失うという面から考えると、ひきこもる原因となった経緯に自信喪失を経験していることもかなり関係していると思われます。挫折やプライドが傷つく経験、人間に対する信頼感を喪失する経験、悲しみと共に非常に多くのエネルギーがそぎ取られた状況です。いかにこのエネルギー損失を回復するか???そこが非常に難しいところで、どのご家族もそのためのかかわりをどうすべきかで悩んでいらっしゃいます。

今回は親子以外の親族という立場で現在ひきこもっている方とかかわっている方の参加がありました。より良いかかわりを探して会に参加されたようですが、お話を伺っていくうちにそのかかわり方がとても暖かく、適度の距離を保ちながらも継続的でひきこもり状態をまったく話題にしていないことがわかってきました。

社会と隔絶した状況は家族としてとても心配なので、どうしてもわが子を見るときにひきこもっている娘とか働いていない息子という具合にいつもひきこもりとセットで考えてしまいがちです。一人の人間として興味のあることや好きなジャンルの話題を共有することも固まっている自分が解放される機会となります。

この解放感がエネルギーの獲得に大きな影響を及ぼします。是非、共通の話題で夢中になれる時間を作っていただけたらと思います。今回の参加者の娘さんがいろいろと心配される行動もある中で毎日ピアノを弾いているというお話しをされました。ご自分の好きな世界を持って、それを続けている姿が素敵に思えるお話でした。【文責:大杉ユリ子(臨床心理士)】

【12月は田中敦さんを交えて、とても有意義な例会に】
12月13日の例会は、NPO法人レター・ポスト・フレンド相談ネットワーク代表の田中敦さんに「近年のひきこもり支援の動向」というテーマで講演いただき質疑応答を行いました。参加者は27名で、とても視野が広がる有意義な集いとなりました。

【「樹陽のたより」例会も貴重な語らいの場に】
11月は4名とこじんまりした会で、その分各人がたっぷり語ることができました。12月は12名と盛況で、田中敦さんにも参加いただき、貴重な情報交換の場となりました。

事務局:
函館渡辺病院医療福祉科(森・越野) 電話:0138-59-4198 FAX:59-2507
野村俊幸(社会福祉士・精神保健福祉士)090-6261-6984 tnomura@sea.ncv.ne.jp

年会費千円を納入いただきますと隔月のニュースレターをお送りし、例会参加費が無料となります。当会は公的助成を受けず、会費や寄付のみで運営しておりますので、ご家族や当事者以外にもこのようなテーマに関心をお持ちの方々に会員になっていただき、活動をご支援いただければ幸いです。
口座番号:02770−2−37078 口座名:道南家族交流会