道南ひきこもり家族交流会「あさがお」ニュースレター第100号:2014年3月

※ 会報が100号を迎えました!会員の皆さまやご支援いただいた関係者に心から感謝申し上げます。

 最近は例会参加者が20名を超えることが多く、初参加の方も毎回おいでになります。

「ひきこもり」の理解と支援を進める上で、ささやかですがこれからも当会が何らかの役割を果たしていきたいと考えておりますので、よろしくお願い申し上げます。
 

【例会日程】

  ・3月9日 グループでの話し合いの場合は「就労経験あり」と「就労経験(ほとんど)なし」(予定)

  ・4月13日「発達障害とは何か、どのように対処したらよいか」についての勉強会
講師:発達障害者支援センターあおいそらコーディネーター 片山智博 氏
  (14:00~15:00 講演 15:00~15:30
質疑応答  15:30~16:00  総会)

  ・5月11日 グループでの話し合いの場合は本人が「男性」と「女性」の2グループ
   時間:午後2時~4時 会場:函館市総合保健センター2階会議室

※ 樹陽のたより(ひきこもりを体験した当事者の集い)

「あさがお」例会と同日の午前11時~午後1時、函館地域生活支援センター(駒場町9−24)で開催します。

※ 当会は4月から新会計年度ですので、2014年度分の会費振込用紙を同封いたします。

 年会費千円を納入いただきますと隔月のニュースレターをお送りし、例会参加費が無料となります。

当会は公的助成を受けず、会費や寄付のみで運営しておりますので、ご家族や当事者以外にもこのようなテーマに関心をお持ちの方々に会員になっていただき、活動をご支援いただければ幸いです。

 【口座番号:02770−2−37078 口座名:道南家族交流会】

※ 会員家族の相互訪問・当事者による家庭訪問をご希望の方は野村までご一報ください。

これは家族同士の親睦や、当事者の話をもっとゆっくり聞きたいというご家族の要望に応えるもので、
ひきこもっている本人に直接を働きかけることが目的ではありませんが、外部の風にふれることでご家族の気持ちが軽くなり、本人にも良い影響を及ぼすことを願っています。


◆今年最初の例会は1月19日、寒波襲来にもかかわらず家族・当事者17名、サポーター4名の21名が参加、大変お忙しい中前回に引き続いて当会顧問の精神科医・三上昭廣先生(函館渡辺病院理事長)も参加され、示唆に富むとても有意義なお話をしていただきました。

2月9日例会は家族・当事者名16名、サポーター名4名の20名が参加、終了後の新年会にも11は名が参加し、楽しく語り合いました。

樹陽のたよりの1月例会はお休みで、2月例会は8名が参加、近況など和やかにおしゃべりしました。


◆福祉現場で10年以上頑張ったお子さんが、職場の人間関係や相当にハードな仕事のために数年前に体調を崩し退職、自宅に戻ってひきこもり気味の生活になりました。

ご両親が共働きなので家事全般をやってくれて普段の生活は穏やかなのですが、就職などこれからのことを話すると表情が一変し、親との会話を拒絶するそうです。

ご両親にしてみれば、子どもはだいぶ自宅で休養したのだから「そろそろ動き始めてほしい」と思うのですが、どう接したらよいか悩み、サポステでの相談を通して当会にも参加されました。

例会での話し合いを通じて、将来のことなどを親が本人に問い詰めるような話の仕方を改め、共通の趣味などを話題にするよう心がけてから、本人の表情も和み、家庭の雰囲気も穏やかになったそうです。

親としてこれからのことはもちろん気になりますが、今はこの家族関係を大事にして、親が先回りしてあれこれ考えるのではなく、本人と一緒に進んでいきたい仰っています。


◆大学の途中までは快活でリーダー的な役割をしていたように見えたお子さんが、何が原因か分かりませんが通学できなくなり中退、それでもその地域に残って数年間は仕事に就いていました。

しかし、東日本大震災でそこで暮らすことが難しくなり、地元に戻って家業の手伝いをしていましたが、昨年暮れに体調を崩してから一気に動けないない状態になったそうです。

ご両親としては、今までの疲れが一気に出てきたと思うので無理させることはできないと考えていますが、この状態が固定化されるのが心配で、お子さんにどのように関わったらよいか、やはり悩んで会に足を運ばれました。

 また、10年以上公共的な仕事に正職員として勤務していましたが、仕事がうまく行かなくなり発達障害として診断され退職、その後なかなか就活に動き出せないでいる方の親御さんは、70代半ばという年齢になり、親が健康なうちに何とか自活のメドをつけてほしいと願っています。


◆このように仕事に一度就いてから辞めてひきこもるようになると、それまでちゃんとやっていたように見えたお子さんの姿と今の姿の落差にとまどい、不安にかられる親の気持ちはもっともだと思います。

一方、お子さんが学齢期を過ぎてから一度も仕事に就いたことのない場合も、それが長引けば長引くほど仕事に就くのはもちろん社会に出ていくことが難しくなるのではないかと不安になり、子どもとどのように接したらよいか悩む親御さんもたくさんおられます。

そのような状態が10年ほど続き、知人から紹介された簡単なアルバイトなどできそうな仕事を勧めてみますが乗ってこないし、雪かきなどはやってくれるので、「ありがとう」と言うのですが返事がなく、何を考えている分からないので、子どもとどのように接したらよいか意見を聞きたいということで参加された親御さんもいます。


◆三上先生は精神科臨床の豊富な体験をもとに「亀の法則」についてお話されました。

亀が頭を出そうとしたときに、もっと亀に様子を見たいと頭をつついたら甲羅の中に頭を隠してしまうが、人間の心理も同じではないか。

「ひきこもり」のような状態になるには、そうなるだけの辛く苦しい体験があるはず。

それが仕事での体験であれば、仕事の話題は傷口に塩を塗るようなもので、亀が頭を引っ込めて自分を守るように、相手に対して心を閉ざしてしまう。

だから、まずは本人にとって家が「あずましい」場所だと心から思えるようになることがスタートで、居間でゴロゴロするようになったら、子どもにとって家が安心できる場所になってきた喜び、家のことを少しでもやってくれたら「仕事をしてないんだからそのくらいは当然」と思わずに心から感謝し、お礼を言い続けてほしい、というアドバイスをいただきました。


◆これに関連して「EE家族」の研究についても紹介いただきました。

これは、イギリスでの有名な臨床研究で、長期に入院していた統合失調症の患者が、感情表出(Express Emotion)の大きな「高EE家族」のもとに退院してきた場合は再発率は9割なのに対し、「低EE家族」のもとに退院してきた場合の再発率は1~2割程度におさまるというものです。

家族が表わす3つの悪い感情は、①批判(何もしないでゴロゴロしてしようがない、いい歳をして仕事もしない)、②敵意(いっそこんな子はいないほうがいい、一発殴ってやりたい)、③巻き込まれ(ちょっとしたことで泣き崩れてしまったり、冷静さを失ってしまう。過保護・過干渉)というものです。

 ひきこもりの方が必ずしも精神疾患とは限りませんが、何らかの事情で心が深く傷つき、精神的に不安定になっていることは確かでしょうから、「高EE家族」のような関わり方は事態を悪化させこそすれ、決して改善することにはつながらないのは確かだと思います。



※てらっこ塾

自閉症児施設職員や特別支援学級で教員をされていた大久保悠さん(31歳)が、実践的で豊富な経験を生かし、「自閉症のままで生きられる地域・社会を目指す」を目標に、家庭 訪問による学習・生活支援を始めました!
詳しくは090−4524−0693へお問い合わせください。

※ふぉろーず

 思春期以降に自閉症スペクトラム障害(高機能自閉症・アスペルガー障害・その他
 の広汎性発達障害)の診断を受けた方及びその可能性のある方の家族による勉強会です。

 毎月第1日曜日の13:30~15:30、函館市総合福祉センター「あいよる」で開催しています。
 参加費は無料、お問い合わせは野村へ(090−6261−6984)


事務局:函館渡辺病院医療福祉科(森・越野) 電話:0138-59-4198 FAX:59-2507
   野村俊幸(社会福祉士・精神保健福祉士)090-6261-6984 tnomura@sea.ncv.ne.jp