道南ひきこもり家族交流会「あさがお」ニュースレター第114号:2016年7月

【例会】毎月第2日曜日午後2時~4時、函館市総合保健センター2階会議室等で開催しますので、日にちは次のとおりです。

7月10日 8月14日 9月11日 10月9日  11月13日 12月11日 2017年 1月8日 2月12日 3月12日 
 
樹陽のたより(ひきこもりを体験した当事者の集い)も、同日の11時~13時、函館市総合保健センター(第2健康指導室)で開催します。

※家族だけで抱え込まないことがとても大切で、当事者の方に運営委員の安藤さんが手紙を送る取り組みや、レターポストフレンドが絵葉書を送る事業を行なっていますので、関心をお持ちの方は野村までご一報ください。

※第113号で紹介しましたFonte新連載「ひきこもりの生涯設計~サバイバルプランの立て方」についてもっと知りたいという希望が寄せられましたので、第4回までをご紹介します。

現在10回まで連載されさらに続くようですが、今後全てを紹介できるかどうか分かりませんので、確実にご覧になりたい方には、Fonte購読をお勧めします。

他にも体験者の手記「ひきこもり時給200円」の連載など不登校・ひきこもり関連の有意義な情報が満載です。

【精神疾患のめぐる不安について:4月例会より】

4月10日は総会を兼ねた例会で26名の方が参加されました。

今回は顧問で精神科医の三上昭廣先生(函館渡辺病院理事長)も参加してくださいましたので、精神疾患について相談したい方と現状を話し合う方の2グループに分かれて話し合いましたが、参加者が多いこともあり、どちらのグループも結構な人数となり、充分思いを語れなかった参加者もいたかもしれませんのでご容赦ください。

「精神疾患ではないか」と家族が切羽詰まる状況も
精神疾患と関連した質問では、「頑張りがきかないように見える子ども自身の性質」、「長いひきこもり状態から次第に意欲をなくして生活することさえ大変になってきている状況」、「一人にしておけないほど心配される心身の状況」、「病院や薬に対する拒否」、「幻聴と思える症状」、「外と隔絶した状況の長期化」、「親への批判や支配に近い暴言や恐怖を感じるほどの威嚇的行動」、「不安感の増大と思える奇異に見えるような言動」、「本人からの何かをしようとする意思を全く感じない」などなどのかなり切羽詰って見える状況が語られました。

長期化するひきこもり状況の中で、お子さんが悪化しているのではないかと思える変化があったり、受け止め難い行動の激化があると、親としてもそれが正常範囲なのか?もしかして精神疾患によるのではと心配になります。

親への「八つ当たり」をどう受けとめたらよいか
これに対して、三上先生から参加者お一人お一人に対してのコメントがありました。

三上先生に聞いていただくと思うと常日頃抑えている思いや我慢している不安が流れ出てきて、抑えきれずに涙ぐむ姿もあって、本当に一生懸命に自分を抑えてお子さんと向き合っている親の姿に心揺さぶられました。

三上先生への信頼の厚さを感じる場面でした。

いくつかご紹介すると、親に対して攻撃的になってきたという場合には、それまで誰に対しても鬱積する不満や苛立ちを外に出せなかった人が、ようやく親にだけは八つ当たりできるようになってきたと受け取れる場合もあるとのこと。

病気でない人の多くは八つ当たりの対象は父親とか母親に対してが圧倒的に多いようです。

それが外に敵ができてくるとかなり心配ではらはらする場面もありますが、それがきっかけで医療機関などにつながるケースもあるとのことです。

統合失調症であれば、その頭の働きにも特徴的な様相が見られてくるし、かなりの無気力なども見られてくるけれど、10年に渡ってひきこもっている場合でもその頭の働きや様子が変わらない場合は病気ではないと思われるとのご意見をいただきました。

訪問看護や保健師さんの来訪など外とのつながりも効果的
また、病院にかかっている場合にはドクターの診察以外に訪問看護を受けて、症状によってはその回数を増やすこともできるし、親の相談にものってもらえるとのことです。

病院にかかっていない場合には、保健所で相談して保健師さんに来ていただくこともできます。

人が来ること自体が嫌であったり、人と会うことに対しても今拒否的であると、どう社会とつなげるかがやはり難しいところで、親としての共通した悩みでもあります。

今回参加した当事者の方からは、ドクターとの診察以外に訪問看護を受けるようになって、自分の今の思いを語ることが出来る機会ができて非常に良かったとのことです。

また、包丁などの持ち出しなど危ないと思われる行動についても、自分で抑えきれなくなった思いが大きくて、ふと気づくと社会で許されないような行動をとってしまうこともあると思うとのこと。

それほどにため込んでいる思いが辛く苦しいため、限界に達したような状況で危険な行動に出てしまうこともあると思うとのことでした。

そして、その状況が頂点に達した段階で、何かつきものが落ちたようにスッキリして吐き出した思いがしたとの経験談も出ました。

親が病気に違いないと思い込むほどの反社会的な行動も、子どもの苦しさの発露である可能性もあるのだと考えさせられる話し合いとなりました。

【5月・6月例会】

5月8日例会は、五稜郭公園の桜も散った後で、おかげで駐車場の心配はありませんでした(^_^;)

今回も22名と参加者が多数のため、「初参加や最近参加しはじめた方」と「長期間参加している方」の2グループに分かれましたが、それでもたくさんの話題で時間が足りませんでした。

前者では、勤務先の倒産やパワハラ、就活での辛い体験などがひきこもりの引き金になり、精神科受診を必要としている方も多いので、単に個人の問題では片づけられず、社会的背景も考えて対処していく必要性を強く感じる話し合いとなりました。

6月12日例会は15名の参加で、今回も三上先生が参加してくださいましたので、精神科を受診していたり、精神疾患かもしれないと不安な場合の対処の仕方などについて、全体で話し合いました。

【樹陽のたより】

4月10日、5月8日、6月12日の会はともに8名の参加でした。

各人それぞれに好調・不調の波があるのは自然なことなので、このような会で語り合うことで、自分の状況を振り返る機会となり、よりよい対処方法を考える手掛かりを得ることもできます。

また、十数年就労できなかった方がサポステに参加して「大人のインターシップ」という職場体験をくぐり、インターシップ先の職場に気にいられてそこに就職できたという体験なども報告され、お互いを支え合う場にもなっています。

事務局:函館渡辺病院医療福祉科(森) 電話:0138-59-4198 FAX:59-2507
野村俊幸(社会福祉士・精神保健福祉士)090-6261-6984 tnomura@sea.ncv.ne.jp