道南ひきこもり家族交流会「あさがお」ニュースレター第131号:2019年3月
【例会】毎月第2日曜日午後2時~4時、函館市総合保健センター2階会議室等で開催します。
日にちは次のとおりです。
3月10日 4月14日 5月12日 6月9日 7月14日 8月11日
樹陽のたより(ひきこもりを体験した当事者の集い)も、同日の11時~13時、 函館市総合保健センター(2階奥右側、第2健康指導室)で開催しますが、6月は会場の都合で6月16日(日)に開催しますのでご注意ください。
「あさがお」は4月から新年度で、次号は新年度の発行になります。引き続き入会をご希望の場合は、同封の振込用紙にて年会費千円をお支払いいただくようお願いいたします。
会員には、会報を隔月でお送りし、例会参加費が無料となります。当会は、公的な助成はなく、会費と寄付金で運営しておりますので、引き続きご入会いただければ幸いです。
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【1月・2月の例会の概要】
2019年最初の例会は1月13日で、20名と多数の参加で、会の必要性をあらためて実感するスタートとなりました。
お忙しい中、顧問で精神科医の函館渡部病院理事長・三上先生も参加してくださいました。
そこで、精神疾患や精神医療に関心を持つ方と、発達障害に関心を持つ方の2グループに分かれて話し合い、後半30分ほどを全体会として、三上先生にいろいろアドバイスをいただきました。
三上先生は、精神科治療において、患者さんがまず自宅で「あずましく」過ごせることが大事で、ひきこもりの方も精神疾患かどうかはともかく、たくさんの辛い体験をしてそのような状態になっているのだろうから、同じようにまずは自宅で「あずましく」過ごせることが大切ではないかとのお話でした。
2月10日は17名が参加、2グループに分かれてテーマを決めずに自由に懇談しました。
保健師さんや訪問看護、障害者生活支援センター「ぱすてる」などの支援を受け、「外の風」を入れて家族だけで抱え込まないことがとても効果的という体験がいくつか話されていました。
樹陽のたよりの参加者は1月が9名と盛況で、近況や日々の過ごし方、今年の抱負などを語り合いました。
2月は8名で、初参加の方のお話を中心にうかがいました。とても辛い体験を乗りこえて、会に足を運んでくださったことに大きな感銘を受けました。
【発達障害や精神疾患と上手に付き合う】(運営委員:安藤とし子】
≪家族の対応にもさまざまな工夫が必要に≫
ひきこもる人の中には、発達障害や精神疾患のある方達がいます。
本来であれば医療・支援機関と繋がり、日常的に適切な治療・サポートを受けながら暮らせると良いのですが、そうした機会のない方達も少なくありません。
家庭での生活もうまくいかないことが多く、家族にとって日々対応に苦慮する存在だったりします。
このような場合は家族以外とのつながりが難しいので、生活の困難さを和らげるために家族が対応を工夫する必要があるでしょう。
例会でのお話を基に、工夫の例を挙げてみました。気遣いについて「耳栓をするようになったので、小声で話をした」というお話がありました。
当事者を気遣った対応ですが、そうする前にしてほしいことがあります。
「話し声が気になる?」と聞いてほしいのです。
「耳栓をする」にも様々な理由があります。
生活音への無言の抗議・新しい耳栓の効果の確認・雑音がなく快適…など。相手は何と答えるでしょうか。
こうした会話なしに家族の判断だけで気遣うと、相手に「よけいな気遣いをされた」と思われることもあります。
このような不快感の積み重ねは、お互いの関係をぎくしゃくさせる元にもなります。
こちらの思い込みで対応するより、当事者に聞いてから対応したほうがより適切な対応ができるようです。
このような会話を繰り返していくと、なぜそうしているのか当事者から説明するようになることもあります。
その説明は親の想定外だったりしますが、それなりに筋道が通っているものです。
こうしたやり取りは、当事者の独特な考え方・価値観に触れるまたとない機会だと思います。
≪家族の「困り感」を具体的に伝え、よく話し合う≫
日常生活の困りごとについては「台所を洗面所代りに使われ、食事の支度に困る」というお話もありました。
このような場合、話し合いが必要でしょう。まず当事者が、使う「場所」と「時間」のどちらに強いこだわりがあるのかを聞いてみます。
どうしても台所を使いたいというのであれば、「時間」について話し合います。
家族は困っている状況を説明した上で、お互いが使う時間を決めようと提案します。
時間を調整しそれぞれの使える時間帯が決まったら、それをきちんと守ることが重要です。当事者の時間帯がずれてきたら注意をうながし、決められた時間帯に戻すようにします。
この場合、時間帯を決めるまではさほど問題なく進みます。
肝心なのは、時間帯がずれるたびに元に戻すということができるか…という点です。
たびたびの繰り返しに、「だめだ、続かない」と家族の方であきらめてしまうとうまくいきません。
ずれはどんどん大きくなり、以前の生活に戻ります。
ずれを元に戻すたびに家族の「困り感」が少しずつ当事者に伝わっていくので、元に戻さなくなると「ずれてもいい程度の問題」と受け取られます。
以前の状態に戻ってしまえば「そんなに困ることでなかった」と受け取られかねません。
「時間」にこだわる場合は、その時間帯に使うのなら洗面所にすると決めます。
以後は当事者にそれが定着するまで、時間帯を決めたときと同様の対応をしていきます。
家族は困っているが当事者はそうではない場合、どれだけ困っているか相手に伝わるまで根気良く対応する覚悟が必要です。
一方的な強制・命令で解決しようとすると、お互いの関係を悪化させるだけなので避けなければなりません。
決めたことを守るため、当事者なりに努力すると思います。
その努力に見切りをつけず、「対応していく努力」が家族に求められるでしょう。
≪当事者の価値観・考え方に寄り添う≫
私はわが子に対し「自分で生きる道を決めてほしい。最後に良い人生だったと思えればそれでいい」と思っています。
こうした私の考えは、「子どもの生き方を尊重した好ましい親の姿」のように受け取られることがあります。
けれどこの考えは、我が子を混乱させただけでした。
「将来を見通せない」「計画を立てて物事を進めることができない」という特性を持つ我が子にとっては、生きるのがつらい10代だったといいます。
「私は何も期待されない子どもだ」と思って過ごしたのだそうです。
自分でも間違ってはいないと思え、はたから見ても本当にそうだと思えることを、当事者も同じように思うとは限りません。
自分たちにとって何が良いのか悪いのか、どうすればうまくいくのか…日々の暮らしの中に、探り出していくきっかけがあるように思います。
発達障害・精神疾患のある人の考え方・価値観は、障害・疾患のない人にとっては理解できないことが多いので、戸惑うことも多々あると思います。
でも、家族間においては障害・疾患のない家族側の考えだけを中心におくのではなく、当事者の思いにも心を向け、家族から当事者に歩み寄っていったほうがお互いの関係を良好にするように思います。
事務局:会運営の庶務は社会医療法人函館博栄会高齢者複合施設「ケアタウン昭里」の越野施設長・森副施設長が担当し、対外的な連絡窓口は野村が担当します。
野村俊幸(社会福祉士・精神保健福祉士)
電話:090-6261-6984 メール:tnomura@sea.ncv.ne.jp