道南ひきこもり家族交流会「あさがお」ニュースレター第97号:2013年9月


今後の例会日程は次のとおりです。

9月8日 10月6日(注!第1日曜日です) 11月10日 12月8日
  2014年 1月12日  2月9日  3月9日
 時間:午後2時~4時 会場:函館市総合保健センター2階会議室

  樹陽のたよりも基本的には同日の午前11時~午後1時の予定です。
  会場はいつもの函館地域生活支援センター(駒場町9−24)です。

会員家族同士の相互訪問

 4回目は7月20日に5名で運営委員のMさん宅にお邪魔し、
 とても楽しいひとときを過ごしました。会長・Mさん宅と続きましたので、他に訪問を受け
 たい家族がございましたら次回はそちらを優先しますので、野村までご一報ください。

 

函館市は毎月第3火曜日14時~16時、函館市総合保健センターで「発達障がい相談」を実施
 します。

対象者本人は、函館市に居住する18歳以上の市民で発達障害の診断を受けていない者で、 専門医が本人または家族、関係者等の相談を無料で受けます。申し込みは☎21-3077

函館精神障害者家族会愛泉会のご案内

精神障害についての正しい理解を広め、家族同士が
 交流し助け合う全国組織の自助グループで、函館地域では「愛泉会」が活動しています。例会
 を毎月第4日曜日13時30分~16時に函館市総合保健センターで開催するほか、月1回程度茶話
 会も地域活動支援センター「千蛍社」(函館市美原)で開催しています。当会とも共通する悩み
 や課題をお持ちのご家族も参加しており、ためになるお話を聞くこともできますので、参加
 希望や関心をお持ちの方は野村までご一報ください。


◆7月14日の例会は家族・当事者16名、サポーター名4名の20名が参加、8月11日の例会は家族・当時者16名、サポーター6名の22名が参加しました。最近は参加者数が増えていますので、少人数でじっくり話し合うためにグループに分かれることが多くなりましたが、この2回もお子さんが「就労経験なし・ほとんどなし」と「就労経験あり」の二つに分かれて話し合いました。
 前者では親としての「就労への思い」がたくさん語られ、就労を強く願っていますが、皆さんご自分のお子さんの状況をしっかり理解していて、的確に捉えてお話なさっていました。状況としては、
・働くことは必要なことかもしれないが、お金に困る状況でないため、焦りが見られない。
・働こうという意欲はないが、働かなければならないと思っている。
・働こうとして動き出したいが、良い出会い・相談できる人が得られない。
・自分の好きなことや得意なことを持っているが、それを就業と結びつけることが難しい。
・まずは人と話せるようになることが第一で、現段階で就業は話題に出せる状況にない。
・希望する職種や気に入った仕事でしか順応して働けないと思う。
などなどのお話しが出ましたが、どのような仕事でも選ばずに、まずは働こうとする意欲までは感じ取れないというのが皆さんから多く出たご意見です。その感じ取れない「必死さ」のなさが、自分や社会と折り合いをつけて仕事をして行くことに結びつかないのではないかと思われます。
 誰しもが折り合いをつけながら生きている社会ですが、ひきこもっている人たちはその折り合いがうまくつかない、または折り合いの付け方がよく分からないのかもしれません。そのもどかしい思いを理解して、個人の良さを見つけて認める『誰か』に出会って欲しい、きっかけをつかんでほしい、良い情報を得たいというのが参加者全員の共通する思いであることを再確認した話し合いでした。

◆後者では、就労の中でとても辛い体験をしたり挫折したことで、再度就労に向かうことがなかなできない方もおります。そのような場合、叱咤激励してもうまくいかず、そんな親や周りの期待に応えられない自分を責めて、さらに自信を失うことになりかねません。
 ある親御さんは、仕事が長続きしないお子さんに対し、問いただしたり責めたりという関わりを続けてきたましたが、本人は口を開こうとはしませんでした。当例会に参加する中で、仕事を辞めるのは本人なりに何か理由があるはずで、「3か月しか働けない」ではなく、そのとき本人にとってはそれが精一杯だったかもしれず、そんな中で「3か月も働くことができた」のはとても素晴らしいという見方が必要なことにだんだん気がつき、仕事を辞めることを責めるのではなく、今できていることに目を向け、辛かったら無理をしないようにという声掛けをするようになってから、お子さんは涙ながらにこれまでのことを語り始め、サポステ相談も利用しようという気持ちになってきたそうです。
 「北風と太陽」という昔話もありますが、社会福祉の相談支援活動は、このような「受容」が出発点になります。ちなみに「樹陽のたより」はこの「受容」との語呂合わせ、明るい太陽に向かって伸びる樹のように生きたいという願いが込められています!(^^)!

◆「大きな変化はない」というご家庭が多いのが現実で、ひきこもりが長期化した場合は、なかなか親の願うように本人は動くことはできません。しかし、本人の心の中は目に見えませんので「変化がない」と思い込むのは早計です。15年近くひきこもり、家族以外との接触がなかったお子さんが、フアンのロックバンドのコンサートを観たいということで先日札幌へ2泊3日で出かけ、帰宅後はハローワークにも通い始めたそうです。長い間仕事をしていないので簡単に就職できるとは本人も考えておらず、「練習つもり」と言いながら出かけています。これはとても大事なことです。一般的に、ひきこもり体験者は真面目で、完璧を目指す方が多いので、それでますます自分を追い詰めてしまいがちです。どこかで「とりあえず」「ダメもと」と考えることができれば気持ちが楽になって動きやすくなりますので、この方の「練習のつもり」という言葉はとても良いと思います。
 親御さんのお話では、日常生活で目に見える変化はなかったようですが、責めたり無理に何かをさせることはしないように心掛けたそうです。きっと心の中ではいろんな思いが湧き起っていて、ロックコンサートというきっかけでそれが外に向かって溢れ出したのでしょう。多くの体験者の皆さんが、動き出したきっかけについて「あるときフッと」とか「気がついたら動いていた」と語っています。こちらの段取りや仕掛けに乗ることはほとんどなく、本人の意識の熟成が不可欠です。

◆樹陽のたよりの7月例会は初参加の方も含め9名、8月例会は初参加2名で11名の参加者でした。最近は、アスペルガー症候群など発達障害の診断を受けたり長期の精神科治療を受けている方もたくさん参加されますので、障害認定のプラス・マイナスについて話題になることがよくあります。大きなプラス面では、障害や病気の状態によっては障害年金に該当する場合があり、7月は参加者のうち4名が、8月も5名受給していて、すぐに働けない場合は自分の自由になる収入があることで精神的にとても楽になり、将来の生活の見通しも持つことができると皆さん語っています。マイナス面としては、本人にまだ気持ちの準備ができていない段階で周りから強く言われて受診し診断名がつくと、「自分は障害者なんだ」と自己規定してしまい、今までやれていたこともできなくなると自信を無くす場合もあるとのではないかという意見も出されました。このように、「診断」はあくまで本人の生活条件をより良くしていくための「手段」であり、「目的」ではないことを再確認したいと思います。

事務局:函館渡辺病院医療福祉科(森・越野) 電話:0138-59-4198 FAX:59-2507
   野村俊幸(社会福祉士・精神保健福祉士)090-6261-6984 tnomura@sea.ncv.ne.jp

年会費千円を納入いただきますと隔月のニュースレターをお送りし、例会参加費が無料となります。当会は公的助成を受けず、会費や寄付のみで運営しておりますので、ご家族や当事者以外にもこのようなテーマに関心をお持ちの方々に会員になっていただき、活動をご支援いただければ幸いです。
 【口座番号:02770−2−37078、口座名:道南家族交流会】