道南ひきこもり家族交流会「あさがお」ニュースレター第116号:2016年9月

【例会】毎月第2日曜日午後2時~4時、函館市総合保健センター2階会議室等で開催しますので、日にちは次のとおりです。

9月11日  10月9日  11月13日  12月11日
2017年 1月8日  2月12日  3月12日

樹陽のたより(ひきこもりを体験した当事者の集い)も、同日の11時~13時、函館市総合保健センター(第2健康指導室)で開催します。

※10月16日(日)13:30~『不登校・ひきこもりと「発達障がい」を考える集い」(函館アカシヤ会・函館圏フリースクールすまいる共催)を後援します。

高橋実花先生の講演は必ずお役に立つと思います。

詳しくは同封のチラシを御覧いただき、是非ご参加ください。会員は無料です。

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※最近注目されている「敏感すぎる気質の人」の紹介記事や、夏休み明けに子どもの自殺が急増することについての注意喚起の記事などを同封しましたので、是非ご覧ください。

7月10日例会は、参議院選挙投票日と重なりましたが参加者20名で、「初参加や最近参加しはじめた方」と「長期間参加している方」の2グループに分かれて話し合いました。

8月14日例会はお盆の時期にもかかわらず17名が参加、小樽で長年家族交流会を主宰してこられた鈴木佑子さんが参加され、ご自身の体験や会で学んだことなど貴重なお話ししてくださいました。

樹陽のたよりは、7月10日の例会は10名、8月14日の例会は7名の参加でした。

日常生活の悩みを語り合うとともに、HIFが開設している大人のフリースペースヨリドコロに通って生活にリズムができたこと、サポステの大人のインターンシップから就労に繋がった体験、「障害認定」を自分を知る機会として前向きにとらえている、など励みになる体験もたくさん話されました。

【高校で不登校からひきこもり気味になって…】

最近の例会に、「高校に通えなくなり、家から出るのも大変そうで…」というお悩みを訴えるご家族の参加が続いています。

高校に入学して間もなくという方もいれば、3年生になってからという方もいます。

ご家族にとっては「せっかく入学したのに…」とか「もう少し頑張れは卒業できるのに…」という気持になるのはもっともなことです。

しかも高校の場合は、出席日数や単位の縛りがありますので、「不登校の後の選択」が期限つきで迫られることもあり、本人も家族も一層苦しくなり、どうしても焦ってしまいがちです。

そして、次の進路が決まらないと、そのままひきこもってしまうのではないかという心配も出てきます。

この間参加された家族は「アカシヤ会」や「昴の会」、「フリースクールすまいる」などとも連携して相談や情報収集を重ねています。

なので、いろいろ葛藤はありながら「学校に戻れず中退してもやむ得ない」と親もある程度肚を決めて「見守る」というスタンスを取るようになり、そこから親子関係もだいぶ落ち着いてきたとお話されています。

お一人お一人経過や状況は違いますので、マニュアル的な対応は禁物ですが、お話をうかがうなかで、親子関係が安定するうえで、次のことは共通しているように思います。

① 結論を急がない。高校は欠席に数がかさむと、どうしてもどこかで留年、転校(編入)、退学という選択を迫られます。

その際はできるだけ結論は急がず、もちろん親が先に方針を出すことは控えましょう。

本人が病院受診を拒否しなければ、診断書で欠席日数の上限を伸ばすことも可能ですので、学校に診断書を提出することで考える時間を確保することも有効な手段です。

② 中退した後の進路情報はしっかり把握しておく。最近は、高校のスタイルも多様化し、そのお子さんの個性や状況に合った学校に移ることもできますし、高校卒業認定試験という道もあります。

親はどうしても従来の高校の姿や「序列」などから「学校の良し悪し」を考えがちですが、いったんその「常識」を横に置いて、進路について考えていただきたいと願っています。

③ 情報を出すタイミングは慎重に。進路情報については「函館圏フリースクール すまいる」が詳しいですし、高認サポートの実績もありますので、庄司代表に直接相談されることをお勧めします。

ただし、そこで得た情報をお子さんにお伝えするタイミングは十分にご留意ください。

お子さんから聞いてきた場合は問題ありませんが、こちらから一方的に「あれがある、これもある」と伝えるのは大きなプレッシャーになり、足踏みが長引く要因になることが多いようです。

【不登校・ひきこもり体験者のお話を聞く集いより~長いひきこもりから動き出して】

登校拒否と教育を考える函館アカシヤ会は5月15日の例会で、不登校・ひきこもりを体験した当事者やご家族のお話を聞く集いを行いました。

「あさがお」からも参加者があり、35名もの方が熱心に参加され、体験した方々ならではのお話に深い感銘を受けました。

その中から、長い不登校・ひきこもりを体験したKさん(21歳女性)とそのお母さんのお話を、ご本人の了解を得て以下のとおりまとめましたので、ご紹介します。

Kさんは中学校で不登校になりました。

校長先生は「教室に入らなくても良いから」と、本人の希望に添って個別に勉強を教えるなど協力してくださり、高校に入学しましたが、入学式を終えて間もなく行けなくなりました。

そこまででエネルギーを使い果たしたようで、以降5年ほど家から出られなくなりました。

家どころかベランダに出ることもできない時期もあり、お母さんと取っ組み合いの喧嘩になったこともあったそうです。

しかし、お母さんもアカシヤ会に参加したり、いろいろ勉強を重ねました。

先回りは本人がエネルギーを溜めるのを邪魔するだけということに気がつき、まずは家で安心して生活できるようお嬢さんへの関わり方を変えていくよう努力しました。

すると、Kさんも外とのつながりを求める気持がだんだん膨らんできて、あるアイドルグループのコンサートにどうしても行きたいと思うようになりましたが外出できません。

やがて、往診してくれるメンタルクリニックがあることを例会で知り、そのお医者さんに自宅で診察してもらい、「社会不安障害」という診断で治療を受けることになりました。親子関係も安定した状態が続き、お母さんと一緒に札幌で開催されたそのグループのコンサートに出かけることができました。

やがてご本人は「バイトをしたい」と言うようになりましたが、お母さんは「いきなり仕事というのは負担が大きすぎるのではないか」と考えました。

そこで、若者サポートステーションの利用者が人との関わりやボランティア、職場体験などを通して自信をつけていったことを見聞きしていたので、サポステの利用をすすめました。

ご本人はサポスに通い始め、いろいろなプログラムに参加してだんだん行動範囲も広がり、現在はスーパーでアルバイトを続けています。

ご本人は最後に、「サポステに通い始めてからも、先回りしないで、親が何も言わずに見守ってくれたこと」がありがたかったとのことです。

そして、「学校に進む順番も一本道ではなく、いろいろな経験をしてから学び直してもいいはずなので、<当たり前のルート>にこだわらないでほしい」とお話され、参加者一同とても感動しました。

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事務局:函館渡辺病院医療福祉科(森) 電話:0138-59-4198 FAX:59-2507
野村俊幸(社会福祉士・精神保健福祉士)090-6261-6984 tnomura@sea.ncv.ne.jp