道南ひきこもり家族交流会「あさがお」ニュースレター第129号:2018年11月

 

【例会】
毎月第2日曜日午後2時~4時、函館市総合保健センター2階会議室等で開催します。

日にちは次のとおりです。

2018年 11月11日 12月9日

2019年 1月13日 2月10日 3月10日

樹陽のたより(ひきこもりを体験した当事者の集い)も、同日の11時~13時、

函館市総合保健センター(2階奥右側、第2健康指導室)で開催します。

 

【9月・10月の例会の概要】

9月9日は参加者21名で、テーマを決めないで2グループに分かれ、自由に語り合いました。

やはり、様々な「こだわり」症状のため日常生活に支障をきたしていることや、膠着状態が長期化し、一層「内向き」になっている状態についての悩みなどが出されました。

その背景に精神疾患があるのではないかと思われる事例もあるのですが、本人が受診したがらない場合も多く、家族としてはどうしたらよいか苦慮します。

なかなか決め手はありませんが、本人も苦しんでいますので、家族の側が気になることに焦点を当てて話すと状態はさらに悪化しますので、家族の側がそれをかわす工夫も必要だと思います。

病的状態が深刻と思われる場合は、市町村や所管の保健所の保健師さんに相談することも一つの方法ではないでしょうか。

10月14日は、北海道メンタル評議会理事長の東舘麻知子理事長を講師にお迎えしての学習会で、参加者は30名でした。

子どもとの具体的関わり方なども交えたとても有意義なお話やロールプレイ、質疑応答など、とても実り多い内容でしたので、次号でその内容をご紹介します。

樹陽のたよりの参加者は9月が7名、10月は6名で、近況報告をはじめ、仕事の悩みや体力作りなど、身近な話題でアットホームな雰囲気のオシャベリ会となりました。

【いろいろな形で人との繋がりが可能に】(運営委員:安藤とし子】

「何年もひきこもっている」「部屋の外に出るのは勇気がいる」という当事者にも、「でも、誰かとつながりたい」という思いがあるようです。

その「誰か」は、「話を聴いてくれる優しい女性」や「同じ趣味について語り合える人」だったり「ありふれた日常の様子を話す相手」だったりします。

人との交流を望みながら一歩踏み出すことができない人達に、外からゆるやかにつながっていく試みがあります。

絵葉書による関わりが効果的な場合も

ひとつは「絵葉書によるピア・アウトリーチ」です。当事者の同意を得た上で、担当者が定期的に絵葉書を送ります。

返信は求めません。当事者にとって定期的に届く絵葉書は、自分のことを気にかけてくれる第三者がいるという「人とのつながり」を意識させるようです。

また、毎回違う絵葉書・切手が使われることや手書きの文字に、人の心の温かさを感じる人もいるようです。読み方もそれぞれで、ひとりだけで読む人もいれば親に読ませる人もいます。

絵葉書の内容だけではなく、図柄や珍しい切手なども親子の話題になることがあるそうです

担当者も、単に「誰かのために」という思いだけでやっているわけではありません。

自作の絵葉書やメッセージカードを誰かに送りたい、新しく発売になる切手を使うのが楽日常のささやかな出来事を書いて誰かに読んでもらいたい…担当者にも、それぞれの楽しみ・張り合いがあります。

お互いの無理のないゆるやかな交流は、思いがけなく進展することもあります。

当事者が担当者に会ってみたいと言いだし会うことになったり、親子で担当者の自宅を訪問するようになったケースもあります。

返信不要といっても年賀状が届いたり、ご家族から「絵葉書を受け取るようになってからの当事者の様子」が伝えられたり、礼状が届いたりもします。

絵葉書がきっかけでメル友になることもあります。

ご家族のお話によると当事者の体調は一定ではなく、時には不安定になり絵葉書どころではないこともあるようです。

そんな時にも変わらず届く一枚の絵葉書は、不安定な当事者を見守るご家族の心の支えになることもあるそうです。

北海道で絵葉書による支援活動をしているのは、主に札幌の特定非営利活動法人レター・ポスト・フレンド相談ネットワークです。

函館では私も担当しています。こうした取り組みをする方は全国的にも少ないそうで、札幌ではサポーターの養成講習会が開かれるようです。

サポートする側もされる側も、それぞれの感性があります。多くのサポーターが育ち、当事者それぞれの感性に合った絵葉書の交流ができれば・・・と期待しています。

 

ネットによるオンライン交流の役割

一方ネット上では、「オンライン当事者会」が開催されています。

家から外に出るのが難しいひきこもりの人でも、気軽に多くの人につながってもらおうと、今年2月に始まりました。ひきこもり当事者や経験者であれば、誰でも無料で参加できます。

参加の仕方はそれぞれです。ウェブカメラを使って顔を出し発言する人、音声だけで顔は出さない人、メッセージだけ送る人、聞いたり見たりしてるだけの参加でもいいのです。

決まり事は、「ほかの参加者の批判はしない」という事のみです。このルールが会をなごやかな雰囲気にしているようです。

会話が苦手・話す不安があるといった人も、自分の状況に合わせて適度な「距離感」を保ちながら「一体感」も得られる、他にない「居場所」になっているようです。

参加者の一人は、「はじめに聞いたときは、ひきこもっている人達がそれぞれの悩みについて深刻な話を吐露しあう、そんな会を勝手に想像していました。

しかし、いい意味でそうした予想は裏切られました。参加者の人達は、たあいのない、ごくごく普通の、なごやかな会話をしていました。

そして、むしろ、そうした会話やコミュニケーションこそが大切なのだと気づかされました。」と話しています。

また、「全国のいろいろな場所に仲間がいて、つながっている安心感が得られる。全国の人と話すことで心が温かくなれました。」と話す参加者もいます。

ある意味、「ひきこもったまま、あらゆる人とつながる」ことができるネットの力。

「どこかで人とのつながりを求めている人達を互いに結びつけ、新しい人間関係へとつながる扉にもなっています。」と、この情報記事は結ばれていました。

「オンライン当事者会」は特定非営利活動法人Node(ノード)が開催しています。

深刻ではなく「心地よい話題」が大切

絵葉書やネットの交流から、当事者の「心地よい話題」が見えてきます。それは「悩みについての深刻な話題」ではなく、「たあいのない、ありふれた日常の話題」ではないでしょうか。

私が担当している当事者も、「親と普通の話がしたい。いっしょに見たテレビの話とか…」と言ってきたことがありました。「ぎくしゃくしない、自然な会話をしたい」と、当事者の多くが家族に対しても望んでいるのだと思います。

何かを語りかけるばかりが絆を深めるわけではありません。無言で同じ時を過ごすことが、絆を深めることもあります。当事者や家族が構えることなく自然に対話ができるヒントが、こうしたゆるやかな交流の中にあるように思います。

 

※事務局:会運営の庶務は社会医療法人函館博栄会高齢者複合施設「ケアタウン昭里」の越野施設長・森副施設長が担当し、対外的な連絡窓口は野村が担当します。

・野村俊幸(社会福祉士・精神保健福祉士)090-6261-6984  tnomura@sea.ncv.ne.jp