道南ひきこもり家族交流会「あさがお」ニュースレター第109号:2015年9月


【例会】時間:午後2時~4時 会場:函館市総合保健センター2階会議室

9月13日   10月11日   11月8日   12月13日
  2016年1月10日  2月14日  3月13日 

樹陽のたより(ひきこもりを体験した当事者の集い)も、函館市総合保健センター(第2健康指導室)で、11時~13時に開催します。

※「会員家族の相互訪問・当事者による家庭訪問」「ひきこもっているお子さんへ葉書を送る取り組み」も引き続き継続します。

また、「レターポストフレンド相談ネットワーク」も手紙(絵葉書)をお届けする事業を開始しました。ご希望の方、関心をお持ちの方は、野村までご一報ください。

※関連イベントのご案内
【芹沢俊介さん講演会】「家族論」の第一人者、「存在論的ひきこもり論」など名著多数。
【内田良子さん講演会】アカシヤ会主催、あさがお後援。「目からウロコ」の連続です!
【道南パドレスの会講演会】北星学園余市高校を応援する会の教育講演会です!
※函館五稜郭ロータリークラブからご寄付をいただきました!(^^)! 心から感謝申し上げます。

本年5月、函館地域の不登校やひきこもりの支援活動に対し10万円のご寄付をいただきましたので、登校拒否と教育を考える函館アカシヤ会、「あさがお」・「樹陽のたより」、昴の会、函館圏フリースクールすまいるの5団体で話し合い、2万円づつ頂戴することとしました。 

7月10日の例会は19名(当事者・家族名12名、協力者7名)、8月9日の例会は17名(当事者・家族10名、協力者7名)と多数の方が参加、会のニーズは依然として大きいことを実感しています。

樹陽のたよりは保健センターに会場を移しての初例会の7月10日は11名、8月9日も11名と多数の方が参加、日々の悩みや生活の様々な工夫など、具体的な話題がたくさん話し合われました。

【今号は、副代表として会を長く支えている臨床心理士の大杉ユリ子さんがレポートを執筆してくださいましたので、ご紹介します。】
嬉しいふたつのエピソード!(^^)!

7月例会は、比較的長く会に参加されている方々が多く、お互いの状況や経過をある程度把握してきていることもあって、グループ分けをせずにそれぞれの現状を話し合う形でスタートしました。

最初に久しぶりに参加された方の近況報告を皆で伺いました。一時は親として子どもの状況をどう受け止めていいのか?と非常に悩まれながらも支えてこられた方の娘さんが、現在は一児の母親として一生懸命に、そしてしっかりと子育てされているというお話しがありました。

「この子はこのままどうなってしまうのだろうか?」という心配と不安を抱えながら娘を見てこられた親としての感想は、「結構しっかりお母さんをやっている!」「何も分からないと思っていたのに、社会のことや常識的なことをちゃんと分かっている!」ことに驚かれたとのことです。

そして、それらは親が人や社会とどうかかわっているかとか、どう考えているか、子育てはどうだったかなどを見ていたのだなと思ったというお話しでした。なるほどと感じ入るお話しを参加者皆で喜びと嬉しさをもって伺いました。自分の何にエネルギーを集中して向けて行くのかが定まったのだと思うお話しでした。

もう一つ、参加者の皆さんに笑顔をもたらした出来事がありました。今まではお父様が会に参加されて親としての関わりについ話し合ってこられたのですが、今回はその娘さんが午前中の当事者グループの会「樹陽のたより」に参加され、そのまま「あさがお」にもお父様と一緒に参加しました。

現在はお家のお仕事も一生懸命に手伝っていて、非常に助かっているとのことです。見守られる中でエネルギーが蓄えられて、その子なりの時を迎えて動き出したのだなと実感する光景でした。また、一歩踏み出す場があることの重要性も再確認する機会となりました。

日常生活が「だらしない」と気になるけれど…

参加者から出された日常の衛生面での困りごとについては皆さんから「我が家もそうだ・・・。」という共感をもって話し合いがなされました。

歯磨きや洗面をしないことから始まって、お風呂に入らないことや着替えをしないだけでなく、下着のままで生活することへの家族の不快感や病気になるのではないかといった心配等、何度注意しても受け付けないそれらの状況へどう対処すべきか?

どうしたら直るのだろうか?といった悩みは程度の差こそあれ、皆さんが困っていることの一つとして特徴的だとの印象を受けました。

洗顔など、普通行って当然だと思っていることや入浴のように心地よさや爽快感を得る日常生活の当たり前をどうしてしないのか???が家族には不思議でならないという思いが語られました。

これについては、当事者の参加者の方々から意見が出されました。特徴的と思われたのは当事者の皆さんは大なり小なりそういう経験があるし、その「しない」気持ちがよくわかるとのことでした。

たとえとして「野球の消化試合で投げなければならない弱小チームの投手のように、まったく投球する意義を持てないけれど、しかしまじめな性格を持ち合わせているので、やらないわけにもいかないというジレンマ状況にあるのと似ている」という話が出ました。

身綺麗にして出かける必要もない、誰に会う訳でもなく、何をするでもなく、したいこともない、そのような意欲も全くない状況では、洗顔する意義も必要も感じないし、面倒なことでしかないとのこと。確かにエネルギーがない状況で何もしたくない中で、必要を感じないことはする必要のないことなのかもしれません。

ですから、「なぜしないのか?」「すべきことでしょ!」という当たり前感覚の押しつけで声がけしても全く心に届かないので、「お風呂に入ると気持ちいいよ」といった自身にプラスになるかもしれないというニュアンスで声をかけるとか、香りの良いバブルバスにしてみるなどの工夫の方が心を動かすかもしれないという意見も出されました。

臭いなど家族として対処に困ることでもありますが、本人の気持ちが動かなければどうしようもないので、本人がやってみようかと心が動くように「当たり前」を周囲は心から外す必要がありそうです。

地域の社会資源の活用から一歩を踏み出すことも

今まで経過の長い状況を支えてきていらっしゃる家族の皆さんも、待つだけから脱却して社会資源を利用してみようという動きも見られました。「ぱすてる」「あおいそら」や「めい」といった生活相談機関の利用や発達障害の相談機関での相談など、少し動いてみようと思うというご意見も出ていました。

この地域にある資源の利用や資料情報を持つことは大切なことかと思います。そして、誰と出会うかはとても大きいことのようにも感じられました。

今回も会の顧問である精神科医の三上昭廣先生のご参加があり、多くのコメントをいただきました。

先生は、一人一人の状況が違うので全体としてコメントすることはとても難しいことであるとして、エネルギーがあってそれをどう収めてどう向けていくかがポイントの人やエネルギーが枯れた状況で全く動けない状況によっては当事者の動きも違ってくるけれど、

どの状況に対しても親は支えて行かねばならないので、「親自身の支えも非常に大切であり、この会に来て、解決しなくとも語ることによってエネルギーを貯め、元気をもらうことは大切なこと」だとおっしゃっていました。まさにこの会の在りようかと思います。

事務局:函館渡辺病院医療福祉科(森・越野) 電話:0138-59-4198 FAX:59-2507
   野村俊幸(社会福祉士・精神保健福祉士)090-6261-6984 tnomura@sea.ncv.ne.jp

年会費千円を納入いただきますと隔月のニュースレターをお送りし、例会参加費が無料となります。当会は公的助成を受けず、会費や寄付のみで運営しておりますので、ご家族や当事者以外にもこのようなテーマに関心をお持ちの方々に会員になっていただき、活動をご支援いただければ幸いです。
口座番号:02770−2−37078 口座名:道南家族交流会